肥後手毬(ひごてまり)は、熊本に古くから伝わる郷土の手仕事です。もみ殻や綿を芯にして糸を幾重にも巻きつけて土台の球をつくり、その表面を細かく区切る「地割り」をしたうえで、色とりどりの木綿糸を一針ずつかがって模様を描いていきます。草木で染めた糸ならではのやわらかく落ち着いた色合いと、菊や麻の葉などを思わせる幾何学的な文様の美しさが特徴で、ひとつ仕上げるのに長い時間と根気を要します。わらべ歌「あんたがたどこさ」でもなじみ深く、かつては子どもの遊び道具として、また娘の幸せを願う贈り物として、暮らしの中で大切にされてきました。
小鹿田焼などの器と同じく、肥後手毬もまた、名もなき作り手たちが日々の暮らしのために生み出し、受け継いできた民藝の品です。手のひらに収まる小さな球の中に、作り手の祈りや土地の記憶が込められているところに、その一番の魅力があるといえるでしょう。飾る際は、色あせを防ぐために直射日光の当たらない場所を選び、湿気やほこりを避けるためにガラスケースなどに入れておくのがおすすめです。玄関や床の間、棚の一角に置くだけで、空間にやさしい華やぎと温もりを添えてくれます。

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